インフルエンザワクチンは午前中に?

10月に入ると、インフルエンザのワクチンの接種が始まります。そろそろ予約をと考えるかたもおられるでしょう。そのようなかたなら、最近、ネットを中心に「インフルエンザワクチンは午前中に受けよう」という話をご存じかもしれません。

この話の元ネタは昨年5月のイギリスの研究と、昨年11月の大阪大学の研究です。詳細は省きますが、イギリスの研究は、健康な高齢者276人の半数は午前に、半数は午後にワクチンを打ち、1か月後の抗体を調べると、午前の群のほうが抗体が多かったという結果です。

大阪大の研究は、マウスの実験で、交感神経が最も働きの高まる時期と最も弱まる時期にそれぞれワクチンを打ったところ、5週間後には交感神経が強く働く時期に接種した群の抗体が4倍多かったというものです。人間の場合、交感神経の働きは、午前中が強いので、午前中にワクチンを打つと抗体が高くなる可能性がある、ということです。

気の早いネット情報では、「だからインフルエンザワクチンは午前中が効果が大きい!」と書いていますが、少々フライング気味です。人間の研究は、高齢者のみの結果で全年齢とは言えませんし、大阪の研究はあくまでもマウスの話で、今の時点では「人間でもそうなるかもしれない」という話です。

将来的には、もしかしたらインフルエンザワクチンは午前中がおすすめとなるかもしれませんが、今はまだ早すぎる話です。

中澤医院|高崎市の内科

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