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咳を訴える場合どうに診断するか その4

胸部レントゲン写真が異常がなく、喘息も証拠がなく考えにくい、となると逆流性食道炎による咳か、心因性の咳が考えられます。逆流性食道炎を考えた場合、消化器症状(胸焼けなど)の有無を聞きます。症状があり、いわゆるむせるような咳が続く場合は、逆流性食道炎を疑います。胃カメラの検査で診断ができますので、診断後に制酸薬(プロトンポンプ阻害薬など)で治療をすると治まることがあります。また心因性の咳は、夜間に眠っているときは咳の発作がでないといわれています。ご本人は「いや、夜中も咳が出て全然眠れません」といわれることもあるのですが、同居のご家族にお話を伺うと「いえ、夜中は咳もなくよく寝てますよ」といわれハハア・・・、となることがあります。心因性の咳は軽めの安定剤で症状が軽くなることが、よく見られます。

中澤医院|高崎市の内科

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咳を訴える場合どう診断するか その3

さて胸部レントゲン写真で異常がないとすれば、まず疑われるのは喘息(咳喘息も含む)ですが、これは結構診断が難しいものです。気道過敏性を測定する機械があれば比較的わかりやすいのですが、個人の診療所などでは、それがない場合もあります。まず症状をよく聞き取りますが、一番特徴的なのは喘鳴を伴うという点です。ピーピー、ゼーゼーという音があれば、(そして胸部レントゲン写真で異常がなければ)喘息の可能性はかなりあります。また血液検査で白血球の、好酸球の増多やアレルギー検査で、陽性のものがあればまず、喘息と診断して差支えないでしょう。喘鳴のない咳喘息は、さらに診断が難しいのですが、やはりアレルギーが関連している場合が多いので、喘鳴なしの持続する咳は、喘息に準じた治療を行うことが多いと思われます。

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咳を訴える場合どう診断するか その2

1~2週間咳が続く、遷延性の咳の場合、上気道感染後の咳が残っている場合もありますが、肺癌・結核・間質性肺炎なども除外する必要があるため、胸部レントゲンは撮影する必要があります(許されるなら正面と側面の2方向)胸部レントゲンでは、肺野・肺門・気管支・心臓・縦隔・血管といったところを確認し、肺癌や結核などが疑われる場合、高次の病院(その地域で高度医療を受け持つ病院)に紹介することもあります。胸部レントゲンで明らかな以上がない場合、アレルギー・喘息を疑うのですが、それはまた次回に。

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咳を訴える場合どう診断するか その1

外来に「咳が出るんです」、と訴える方が受診された場合、一般的にはどのように診断されるのでしょう。咳はほぼすべての呼吸器疾患が原因になりますが、明らかに重篤な病気が疑われる咳でない限り、いきなり胸部レントゲンを撮ることは少ないでしょう(もちろん咳があればほぼ一律で撮影をする先生もいますし、それを非難する気もありません)。まず咳をタイプに分けます。急性であるか、遷延性であるか、慢性であるか。急性の場合多くは、感冒を含む気道の感染症が疑われます。この場合対症療法として、咳止め・抗炎症薬などを投薬して様子を見ることもよくあります。あまりに高熱であったり、息切れが強い場合は肺炎なども疑い、胸部レントゲン撮影を行い、肺炎などがあった場合は、大きな病院に紹介して、入院してもらうこともあります

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体がだるい、食欲がない、やる気が出ない・・・うつ病だよね?その3

肝機能が正常で、貧血がなければ、これはうつの症状でしょうか?じつはまだ落とし穴があります。それは甲状腺機能です。甲状腺機能は亢進すると動悸等のパニック症状と紛らわしい症状が出ますし、低下すると、食欲がない、やる気が出ない等、まるでうつではないかという症状が出ます。一般内科の医師でも案外、甲状腺機能は検査をしないことがありますので、要注意です。最後に、無理なダイエットのための極端な飢餓状態でも、うつのような症状が出ます。体がだるく、頭がボッとして考えるのも面倒くさい、やる気が出ない。食欲中枢も鈍くなって食欲がない・・・。まるでうつ病か拒食症のようですが、点滴などで血糖の値を上げると症状が消えることもあります。うつだと思い込んで、そちらの治療に気を取られていると、さらに症状が進み、命にかかわることも出てきますので、このような場合、うつ症状が先か、無理なダイエットが先か、よく見分ける必要があります。

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体がだるい、食欲がない、やる気が出ない・・・うつ病だよね?その2

このような症状で心療内科を希望して、来院される方も多いのですが、まずは貧血があるか、あるいは肝機能が正常であるかを、除外する必要があります。貧血だけでも動悸の他に、体がだるい、やる気が出ないといった症状は出現しますし、肝機能障害も食欲がない、体がだるい、といった症状が主となります。貧血にしても肝機能障害にしても、一般的な診察と、血液検査でほとんど診断できます。では、これらが正常なら、うつ病かというとそうでもありません。じつは一般的な水準の内科医でも、最初にはやらないかもしれない検査がありますが、これの異常でも、うつに近い症状が出現することがあるのです。それは次回に。

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体がだるい、食欲がない、やる気が出ない・・・。うつ病だよね?その1

初診の時に「私はうつ病です」と自分で診断してくる方がいます。そしてこのタイプの方が「内科の検査は受けましたか?」という問いに一番露骨に嫌な顔をするようです。「どうしてうつだと思いますか?」と聞くと「だってやる気が出ないし、食欲がない。体もだるくて仕方がない。」とのことです。最後に「ネットで見たら全部あてはまるのに、なんで今更検査が必要なんですか?」と思い切り不満そうに言われるのですが、はたしてこの症状はうつ病にしか出ないものでしょうか?

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動悸、息切れ。これって・・・その3

これはまだ、私が大学から地方の病院に出向していた時の話です。一か月前に奥様が急に亡くなった方が、ご家族と一緒に外来に受診されました。ご家族曰く「母が亡くなってから食欲もなく、最近になって動くと苦しいと言っている。何もやる気がなく、そのくせ夜中はずっと起きていて家族に呼びかけるので家族が夜休めないので困る。きっと神経の問題だから何か安定剤でも出してくれ」というのが連れてきたご家族の言い分でしたが、診察してみると胸の音はゼイゼイと喘鳴がひどく、足もむくみ、明らかな心不全症状でした。あわてて胸部のレントゲンを撮影したら案の定肺が水浸し状態でレントゲンでは真っ白。(ふつう肺はレントゲンでは黒っぽく写ります。)即日入院をして心不全の治療をしたら、すっかり元気になられました。これは極端な例ですが「息が苦しい」という症状は多くの場合は心臓、呼吸器の症状です。最低限でも胸部レントゲンと心電図検査(できれば24時間心電図)は受けたいところです。

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動悸、息切れ。これって・・・その2

発作的に動悸が起きる場合、心臓系の病気の検査は外すことができません。安静時の心電図が正常でも発作性の不整脈というものがあります。このため内科で心電図をとって何でもないといわれた、だから心療内科にきたという方もいるのですが、その前に24時間ホルター心電図を検査してもらってください。案外隠れていた不整脈というのは見つかるものです。また発作性の不整脈でもまれに致命的なものもありますので、内科的、循環器科的に十分な検査を受けてほしいものです。

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動悸、息切れ。これって・・・その1

すこしでも動くと息切れがする。なんとなく心臓が早く打ってドキドキする。そうだ、ネットで見たパニック発作ってこんな感じだったっけ・・・。ということで心療内科を受診する方がたまにいますが、ちょっと待ってください。たしかに、パニック発作・パニック障害という症状はありますが検査を何もしないで、いきなり心療内科(あるいはメンタルクリニック)に受診すると、取り返しのつかないことになる可能性があります。内科にこんな症状の方が受診したら、まず貧血症状を疑います。貧血自体も運動時の息切れや、頻脈・動悸を主症状とし、加えて全身の倦怠感も出現しますが、診察の時、眼瞼結膜の色を見たり基本的な血液検査(貧血検査)で容易に診断することができます。そして貧血の陰には、消化管の出血や、血液の疾患などの生命にかかわる病気が隠れていることも、数多くあります。一つの症状だけで、一つの病気の診断ができることはほとんどありません。心療内科に受診するのは、一般的な検査を先にしてからでも、遅くはないのです。

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